「咲夜さん、咲夜さん」
自らが犬であるならば、紅美鈴は猫のようだ。十六夜咲夜の持論だ。紅魔館の門番の身でありな...
扉の鉄格子の隙間から片手を出した美鈴は、空の洗濯籠を抱えて、勝手口から庭に歩み出たとこ...

世界の夢が集まる街の港は、真っ白な濃霧に包まれていた。
その中にあっても用心深く日傘を差したレミリア・スカーレットは、渡し舟からメイドの手を借...
「船が接近できないというから、どうしたのかと思ったら」

レミリアは決意した。
霊夢の血を飲んでやる。
首筋にかぷりと噛み付いてちゅーちゅー吸ってやる。

早朝。
雀が鳥居の上で鳴いている。
竹箒が地面を浚う。

きぃ、きぃ、きぃ。
風を切る。
ごうごうと耳許で空気が唸る。

ざー。
ざー。
ぽたぽた。